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あなたは、最近強いストレスやプレッシャーを感じていませんか。強いストレスやプレッシャーが続くことは、円形脱毛症を招いてしまうことがあるので要注意です

円形脱毛症は突然現れます。そして、円形脱毛症は年齢や性別に関係なく誰にでも起こる可能性があります。突然、10円玉サイズや500玉サイズの円形の脱毛が頭部に起きるのです。また、円形脱毛症の場合は、脱毛した周辺の髪の毛を引っ張ると痛みもなく簡単に抜けてしまうのも特徴です。

円形脱毛症は、しばらくすると自然に治ると思われていますが、必ずしもそうではありません。それどころか円形脱毛症が悪化すると、髪の毛全部が抜け落ちたり、まゆ毛やまつ毛までが抜け落ちたりする場合もあります。また、一度発症すると再発することが多いのも円形脱毛症の特徴です。

現在のところ、円形脱毛症を完治させる治療法は確立されていません。しかし、現在に至るまで、さまざまな治療法が試みられていて、それぞれの治療法の長所や欠点が明らかになってきています。

ここでは、円形脱毛症の発症の原因と対処法について説明していきます。

円形脱毛症の症状とは

円形脱毛症に悩まされている人は、全国で約150万人いるとされています。円形脱毛症は、比較的若い世代に発症する例が多く、30歳以下で発病する割合が約80%です。15歳以下は、全体の約20%となります。

円形脱毛症の場合、肉体的な苦痛はありません。しかし、どうしても見た目が痛々しくなるために、患者にとっては精神的な苦痛が大きくなります。特に、若者や女性にとってその苦しみは大変大きくなることから、円形脱毛症は心に大きなダメージを受けやすい病気であるともいえます。

実際に、著名なスポーツ選手や芸能人などにも円形脱毛症を疾患している人は多く、そこからも彼らの精神的な重圧を見て取ることができます。

また、円形脱毛症が進行しているときの症状としては、次のことが挙げられます。

・脱毛部付近の髪の毛は、引っ張ると簡単に抜ける

・頭皮がむくんでいる

・脱毛部の毛穴に黒い点々が見られる

頭皮がこのような状態にあるときは、円形脱毛症が進行しているので慎重な頭皮ケアが大切になります。

円形脱毛症のタイプ

円形脱毛症といってもタイプはさまざまで、大きく分けると5つのタイプがあります。

1. 単発型

もっとも多いタイプで、円形の脱毛部分が1~2か所できます。大きさもさまざまで、約1cmから数cmとなります。約70%の患者が1年以内に完治するといわれていますが、次の段階である「多発型」に移行する場合があります。

2. 多発型

頭部の円形の脱毛部分が、2か所以上発生するタイプです。多発型の場合は、適切な治療を行っても、完治まで半年から 2年くらいかかる場合が多いといわれています。さらに、脱毛部分が何個かつながって拡大する場合「多発融合型」もあります。

3. 蛇行型

このタイプは、脱毛部分の結合が細長くなり、後頭部から側頭部の髪の生え際にそって、蛇のように蛇行しながら広がるタイプです。治療期間が数年に渡る場合があります。

4. 全頭型

多発型が進行して、頭部全体の髪の毛が抜け落ちてしまうるタイプです。このタイプは、治療が難しく治りにくいとされています。治療が長期に渡る場合が多いので、治療期間中は「ウィッグ(かつら)」などを使う工夫が必要となってきます。

5. 汎発型

症状が進行し、頭髪からまゆ毛、まつ毛、体毛など全身全ての毛が抜け落ちてしまうタイプです。このタイプが最も重度なタイプです。治療が長期に渡るため、こちらも全頭型タイプと同様に、治療期間中は、ウィッグなどを活用することが多くなります。

全てのタイプに共通する症状として、痛みやかゆみなどの自覚症状は少なく、突然髪が抜け落ちることがあります。また、円形脱毛症患者の約25%の患者において、爪に小さなデコボコや横スジといった症状が現れるといわれています。

 円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因については、いくつかの説があります。その中でも、免疫機能の異常が原因とされる説が有力です。しかし、その他にもいくつかの要素もあるようですので、以下に挙げます。

1. 自己免疫疾患

自己免疫疾患は、免疫力が低下しているのではなく、正常に機能していないことによるものです。通常、私たちの身体は外から入ってきたウィルスや細菌に対して防衛反応を示します。しかし、自己免疫疾患の場合は、外からの細菌の侵入と自分自身の組織を判別することができずに、自分自身の組織を攻撃してしまう現象が起きます。

つまりは、自分を守る働きがある白血球が、髪の毛を作る組織を攻撃をしてしまうことで髪の毛が抜け落ちてしまい、円形脱毛症になってしまうことです。

また、この自己免疫疾患は男性よりも女性の人の方がなりやすいといわれています。その理由として、「ホルモンバランスの乱れ」や「リンパ球が多い」といった要素が挙げられます。

2. アトピー要因

アトピー要因は、アトピー性疾患を持っている人に起きます。一説には、円形脱毛症患者の半分近くが、アトピー要因を持っているとされています。円形脱毛症とアトピーには、強い関連性が見られます。

3. ストレス要因

私たちが強いストレスを受けると、それに対抗する形で交感神経の働きが活発になります。そのとき交感神経は、体温を上昇させたり心肺を早めたりなどして、ストレスと戦う準備をします。このときに、強いストレスが長期間続くと交感神経に異常をきたすようになります。

すると、血管が収縮して狭くなることで血行が悪くなり頭皮へ栄養が行きわたらなくなります。その結果、髪が抜けてしまうのです。

4. 遺伝的要素

欧米の調査では、円形脱毛症患者の発症率は親からの影響を強く受けるという結果が得られました。同様に、中国でも円形脱毛症患者の約9%に、家族にも円形脱毛症患者がいるとの結果が出ています。このように、円形脱毛症には遺伝的要素が関係しているとの見方があります。

円形脱毛症の治療法

円形脱毛症の治療には、2010年に「日本皮膚科学会」が作成したガイドラインがというものがあります。このガイドラインは、患者と医師の双方が納得できる治療を目指すために、日本皮膚科学会と毛髪科学研究会によって、科学的根拠に基づいて作成されたものです。

すでに海外では、このようなガイドラインは作成されてはいましたが、そのガイドラインが日本人にも適したものであるとは必ずしもいえないことから、日本の事情に合ったものとして策定されたものが、このガイドラインとなります。

通常、ガイドラインはそれぞれの治療法の有効性を、さまざまな実験の結果をもとに作成されます。そして、それらの有効性によって各治療法の推奨度も変わってきます。推薦度には、A群からD群までのグレードがあります。それぞれの推薦度は、以下の通りです。

・A群:行うよう強く勧められる

・B群:行うよう勧められる

・C1群:行っても良いが十分な根拠はない

・C2群:行わないほうがよい

・D群:行うべきではない

以上のように、各治療法の推薦度は5段階に分かれますが、このガイドラインにおいては円形脱毛症の治療法にA群(行うよう強く勧められる)に当てはまる治療法はありません。つまり、間違いなく円形脱毛症を完治させる治療法は、いまだに確立されていないということです。

それでも、治療に効果が認められた方法もありますので、ここではそれぞれの方法を見ていきます。

A群に該当する治療法

「行うよう強く勧められる」とされるA群に該当する治療法は、次の通りです。

該当なし

B群に該当する治療法

「行うよう勧められる」とされるB群に該当する治療法は、次の通りです。

1. ステロイド注射法

この方法は、ステロイドを使い炎症を抑える治療法です。ステロイドには、免疫機能改善や炎症抑える効果があることから、円形脱毛症の患部に直接注射で注入すると効果があるとされています。

特に脱毛箇所が、数ヵ所あったり帯状に蛇行していたりする場合は、直接注射することで最も効果が期待できます。しかし、ステロイドによる治療には、副作用があるために小児に対しては行えません。また、注射時の痛みが強いことも欠点として挙げられます。

2. 局所免疫療法

この方法は、 かぶれを起こしやすい物質を患部に塗り、人工的に皮膚に軽い炎症を起こさせることで、免疫機能を活性化させて治療する方法です。特に、脱毛部が広がっている場合には効果があるとされています。

円形脱毛症の原因に、リンパ球が毛根にある「毛包」を攻撃してしまうことで脱毛が引き起こされるということがあります。局所免疫療法では、かぶれを起こしやすい物質を患部に塗り、弱い皮膚炎を繰り返し起こさせることで、リンパ球が毛包を攻撃するのを抑えることができます。

局所免疫療法は、子児に対しても行えます。欠点としては、即効性がなく治療に半年以上かかってしまうということです。

C1群に該当する治療法

「行っても良いが十分な根拠はない」とされるC1群に該当する治療法は、次の通りです。

1. ステロイド内服

ステロイドの内服薬を飲むことです。ただし、内服薬は体の機能を低下させる危険性があります。長期間使用すると、副腎機能の低下や骨粗しょう症などのさまざまな副作用が起きます。また、成長障害を起こす恐れがあるので、小児には使えません。

2. ステロイド塗布

ステロイドを直接患部に塗ることは効果も望めますが、使用法には十分注意が必要です。ステロイド軟膏は、薬の強さも弱いものから強いものまであります。

3. グリチルリチン使用

アレルギー反応や炎症を抑える働きがありますが、ステロイドと同じく副作用があります。

4. セファランチン

アレルギー反応を抑制したり、血流を促進させる働きがありますが、副作用があります。

5. ミノキシジル外用

ミノキシジルは、男性型脱毛症(AGA)に効果があるとされています。ミノキシジル治療は、内服薬と外用薬を使った治療法となります。

6. 冷却治療法

患部にドライアイスを軽くあて刺激を与える治療方法です。患部を冷やすことで、免疫機能が高まることで症状の改善が見込まれます。この方法は、副作用の心配はありませんが、小児には使えません。

C2群に該当する治療法

「行わないほうがよい」とされるC2群に該当する治療法は、次の通りです。

1. 漢方薬内服

2. 精神安定剤内服

3. 催眠療法

4. 星状神経節ブロック

以上の治療法の効果については、科学的根拠に欠けることから行わないほうがよいとされています。

D群に該当する治療法

「行ってはいけない」とされるD群に該当する治療法は、次の通りです。

1. 鍼灸治療

2. 分子標的治療薬(ガン治療に用いられる)

以上の治療法については、行ってはいけないとされています。

円形脱毛症時の髪型について

円形脱毛症を患っている場合は、他人の視線がどうしても気になるために外出を控えるようになりがちです。特に、女性や若者にとって、脱毛部が目立ってしまうことは大変強いストレスになってしまいます。そのストレスの強さは、人によっては心の病を招きかねない程であるといえます。

しかし、仕事や通院など、どうしても外出しなければならない場合があるのも事実です。そのような場合は、患部がなるべく他人の目にふれないように上手な対処をすることが必要になります。

現在は、医療美容の技術の進化によって、円形脱毛症が目立たなくなる方法があります。それらを有効に活用していくことで、明るく前向きに過ごしていくことも症状改善のためには大切です。

円形脱毛症時の髪型の対応策

1. ウイッグ(カツラ)を着用する

円形脱毛症が上手に隠れるような専用の医療用ウイッグがありますので、有効活用することも検討してみるのもいいかもしれません。

2. ヘアコンタクトを着用する

ウイッグのように、頭全体を覆うのではなく脱毛部分だけに、直接装着できるカツラです。見た目にも全く違和感がなく、自毛になじんで自然な仕上がりになります。

3. 増毛パウダー

TVコマーシャルで、よく見かける商品です。このパウダーを頭皮に振りかけるだけで、嘘のように脱毛部が見えなくなります。しかし、この方法は地肌に産毛が生えていることが条件となりますので、脱毛の症状によっては使用が難しい場合もあります。

4. 美容師にお願いする

女性も男性の場合も、それぞれに合った髪型を美容師にセットしてもらうことが可能です。

円形脱毛症は、年齢や性別に関係なく誰にでも起こる可能性があります。また、一度発症すると再発しやすいともいわれています。しかし、円形脱毛症によって脱毛が起こっている部分の毛根は、休止していても決して死んでしまっているわけではありません。必ず治ることを信じて、決してあきらめずに根気よく治療していきましょう。