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あなたは、「腹八分目は医者いらず」ということわざを聞いたことがありますか。この意味は食事をするとき、お腹いっぱいまで食べずに八分目くらいに抑えておくことが健康にいいということです。

実は、毎回満腹になるまで食べずに食事の量を少し抑えめにすることは、健康だけではなく育毛にとってもいいことです。

実際に、食事の量が少なめの人のほうが、毎回満腹になるまで食べる人よりも健康でいられることは事実です。生活習慣病といわれる「高脂血症」「高血圧」「糖尿病」の主な原因は食べすぎです。お腹いっぱい食べ続けることで、人間の身体は病気になりやすくなるのです。

健康によくないことは、当然ながら髪にもよくありません。WBO(世界保健機構)の調査によれば、脂肪が多く含まれる食事を量も多く摂る人が多い欧米では、生活習慣病を患っている成人男性の割合は全体的に日本より高くなっています。そして、成人男性のハゲ率が日本が約25%なのに対して欧米では約40%にもなっています。

しかし、以前はハゲが少なかった日本でも飽食や食の欧米化と共に、生活習慣病率やハゲ率は高まってしまいました。常に満腹になるまで食べてしまうことは、髪にも健康にもよくないことなのです。

ここでは、食事の量を腹八分目に抑えることが、なぜ健康と髪の毛にとって大切なのかを説明していきます。

人間の食の歴史

もともと人類の長い歴史の中で、人間は現代のようにお腹いっぱい食事が摂れることはほとんどありませんでした。人類は、常に飢餓の恐怖と戦ってきたのです。そして、そのような環境の中でも生きていけるように、人間の身体は長い時間をかけて順応していきました。

20世紀に入ってから農業技術の飛躍的進歩によって、食料の安定供給が可能になりました。それにより、人類は一部の地域を除いて、飢餓の恐怖から解放されるようにました。

しかし、常にお腹いっぱい食べられなくても、人間の身体はすでに生きられるようになっていたのです。一日一食でも、本来人間は生きられるのです。何万年という人類の長い歴史の中で、人間の身体はそのようになっていったのです。

そして、農業技術や精肉技術、漁業技術の発達により豊富な食料を手に入れることができるようになった人間は、長い人類の歴史の中では行ってこなかった「満腹になるまで食べる」ということをするようになったのです。

しかし、もともと多くの食料を取り込まなくても生きていける構造になっている人間の身体は、毎日大量に胃袋に送られる食料を処理しきれませんでした。この結果、「満腹になるまで食べる」という行為に対応しきれない人間の内臓機能がオーバーワークとなり、生活習慣病という形で病気となって表れてきたわけです。

また調査の結果、体脂肪率が高いほど平均寿命は短いこともわかっています。

ちなみに、常に満腹まで食べる生活習慣が身についている力士の平均寿命が63,6歳と、一般人の平均寿命78,07歳と比べ約15歳短命になっています。力士が総体的に短命である理由は、激しい運動による部分もあるかもしれません。しかし、大量に食事を摂る食習慣との関連性も考えられます。

また、食料不足の地域では生活習慣病はあまり見られません。そして、よく注意してみると気がつきますが、ハゲ率も低いのです。成人男性のハゲ率が40%を超える欧米人と比べると、その違いは明らかです。

病気や薄毛を引き起こす生活習慣病を治すには、まず毎日の食事を適量にすることが大切です。

食事を腹八分目に抑えることの健康効果とは

食事の量を抑えることが、どのような健康効果を生むのかは実験において確証されています。世界各国で食事の量を一定に制限した場合と、好きなだけ食べさせた場合とでは、平均寿命にどのくらいの差が表れるのかを、小動物を使って研究されました。

すると、驚くことに両者に大きな違いが見られました。マウスでの実験では、好きなだけ食べさせたマウスより腹八分目に抑えたマウスの方が、1,6倍ほど平均寿命が延びたのです

これと同じ実験をサルを使って行ったときにも同じような結果が得られました。食事を抑えられたサルの方が、好きなだけ食べることができたサルよりも(血圧、血糖値、中性脂肪)に改善が見られたとの報告がありました。

そしてアメリカで行われた人間での実験でも、カロリーを25%カットしたグループに生活習慣病に関する数値(血圧、血糖値、コレステロール値など)の減少が確認できたのです。

また、腹八分目の食事を続けるとアンチエイジング効果が得られることや、ガンの防止につながることもわかってきました。

以上のことから、医学的に見ても食べすぎずにカロリー制限をすることは、美容と健康、そして長生きの秘訣であることがわかりました。そのことを、日本では昔から「腹八分目医者いらず」と呼ぶようになっていたのです。

食べ過ぎを防ぐ食事法

それでは、どのようにすれば食事の量を腹八分目に抑えることができるのでしょうか。私たちが食べ過ぎてしまう理由には、主に以下の3つがあります。

1. よく噛まないで早食いをする

肥満の人たちによく見られる共通した習慣として早食いがあります。このことは、疫学の世界では確認されている事実です。

人間の脳は満腹中枢が働くのが食事を始めてから約20分後といわれています。よく噛まないで早食いをしてしまうと、満腹中枢に信号が届く前に食べすぎてしまうのです。

2. 間食や夜食

この2つも、多くの肥満の人に共通する食習慣です。食品添加物が多く含まれたスナック菓子やスイーツなどの食べ過ぎは、健康にも髪の毛にもよくありません。また、夜食は睡眠中も消化器官が働き続けなければなりませんので、胃腸に大きな負担をかけてしまいます。

3. 食事の際、食べる順番を考えない

食事をする際、肉料理などをご飯と一緒に最初に口にしてしまうと、どうしても食べ過ぎてしまうことになりやすいです。食べる順番を考えることで、食べ過ぎや血糖値の急激な上昇を防ぐことは可能です。まず、野菜から食べていき、最後に炭水化物を摂ることが望ましい食べ方です。

以上のことに注意をしていくことで、食べ過ぎを抑えることが可能になり、同時にダイエット効果も得られます。

さまざまな科学的な実験の結果によって、食べ過ぎることはマウスやサル、そして私たち人間にとっても健康に悪影響を及ぼすことがわかりました。また、食べ過ぎは健康に悪影響があるのと同時に、育毛にもよくないことも事実なのです。

栄養のバランスが取れた食事を腹八分目に摂ることで、アンチエイジング効果や髪や肌にもいい美容効果が得られます。そして、免疫力が高まり健康効果や長生きにもつながりますので、食べ過ぎを抑えバランスのとれた食事を摂るよう常に心掛けるようにしましょう。