48

亜鉛は、全身のあらゆる器官や組織に存在する必須ミネラルです。人間の体内には1000種を超える酵素があるといわれています。亜鉛はその中もで300種以上の酵素に不可欠な成分であり、私たちの身体の機能を正常に働かせてくれる役割があります。

髪や皮膚の健康をはじめ、亜鉛は味覚やアルコール分解、性機能維持などに大切な成分です。亜鉛は毛根にも多く含まれており、毛根の細胞分裂の活性化を促進させるなど髪の毛の成長にとって大切な働きがあります。

薄毛の原因はいくつかあります。間違った生活習慣や食習慣、過度のストレスなどです。その中で、脱毛を促進させる男性ホルモンとして知られるジヒドロテストステロン(DHT)という物質が関わっている場合があります。

この抜け毛につながるジヒドロテストステロン(DHT)を生み出す酵素が、5αリダクターゼです。亜鉛はこの5αリダクターゼの制御にも効果があります。要は、亜鉛によってハゲに関わる物質(ジヒドロテストステロン:DHT)の働きが制御されるのです。

このように亜鉛は、髪の毛の成長にも健康維持にも必須栄養素ですが、現代人にとって不足しやすい栄養素であることも事実です。

私たちが健康で髪にもいい生活を送ることができるために、亜鉛の性質と効果的な活用法を説明していきます。

亜鉛の健康効果とは

亜鉛の大切な働きとして次のことが挙げられます。

1 髪のタンパク質を合成し、髪を成長させる

2 味覚機能の維持

3 性機能の維持

4 生活習慣病の予防・改善効果

5 アルコール分解

6 細胞の新陳代謝の原料となる

これらが亜鉛による主な作用ですが、上記の働きから得られる健康効果として以下のようなものがあります。

1 発毛・育毛を促すだけでなく、質の良い、丈夫で美しい髪の毛をつくる

2 味覚が正常に機能するため食事がおいしく感じられる

3 男女ともに生殖機能が発育・維持され、精力向上に役立つ

4 糖尿病予防、コレステロール上昇制御、血圧降下に役立つ

5 体内でアルコールを分解する時に必要なアルコール脱水素酵素が働くために、二日酔い防止になる

6 細胞分裂を活発化させ、組織の成長を促す

この他にも、免疫力向上や抗酸化作用など、身体を作る上でなくてはならない存在が亜鉛なのです。

亜鉛の育毛効果

亜鉛は髪の毛の細胞分裂を促進させることで、育毛のためにも重要な働きをします。髪の毛はケラチンというタンパク質でできています。亜鉛はケラチンが合成されるときに必要とされます。このときに亜鉛が不足すると髪の毛の成長が上手くいかずに髪質が悪くなったり、抜け毛が多くなったりします。

先述の通り、薄毛には男性ホルモンが関わっています。特にジヒドロテストステロン(DHT)という男性が深く関与しており、このホルモンは脱毛促進ホルモンといわれ抜け毛の原因です。

男性ホルモンの一種であるテストステロンは、5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)へと変換されることが分かっていて、このジヒドロテストステロン(DHT)が薄毛の原因になります。単純に考えると、ジヒドロテストステロン(DHT)は酵素によって生み出されると考えてください。

そして前述の通り、亜鉛はテストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)へ変換するのを抑えるのです。この働きにより、抜け毛を抑える効果が望めます。

また、亜鉛を十分に摂取すると髪の毛の成長が早まることも、皮膚科の医師によって確認されています。

亜鉛不足による悪影響

厚生労働省が発表している、日本人の1日あたりの推奨亜鉛摂取量は3~15mgです。しかし、多くの人がこの数値に達しておらず、亜鉛不足になっているとの事実があります。

亜鉛が不足する理由として次の2つが挙げられます。

1 亜鉛は、もともと食品から摂取しにくいため十分に取れていない

2 過度のストレスや激しい運動、アルコール分解のため体内での消費量が多い

これらの状態が続くと、身体へ影響がでる場合があります。具体的には、以下のような亜鉛不足による症状が表れる恐れがあります。

1 体内の細胞の生成が減り、抜け毛や肌荒れを起こす

2 舌にある「味覚を感じる細胞」の減少により、味がわからなくなる

3 性機能が衰え、男性は精子の数が減少する

4 免疫力の低下

5 記憶力や視力の低下

6 貧血

この他にも、筋力低下、骨がもろくなる、うつになりやすいなどの報告もあります。

このような身体の機能低下を防ぐために、日頃から亜鉛を多めに摂取することを意識しましょう。亜鉛はクエン酸やビタミンCなどの栄養素を含んだ食品と一緒に摂ることで、吸収率が高まります。吸収率を高める食品と共に亜鉛を摂り、バランスのよい食生活を心がけましょう。

亜鉛含有量が多い食品を知る

亜鉛が多く含まれる食品は比較的多くあり、意識して摂るようにすれば食事から十分に摂取できます。

以下に、亜鉛を多く含む食べ物を記します。右側に記載した数値は、食品100g中の亜鉛の含有量(単位mg)です。

1 牡蠣 13,2

2 ビーフジャーキー 8,8

3 ココアパウダー 7,7

4 煮干し 7,2

5 豚(レバー)6,9

6 抹茶 6,3

7 ごま 5,9

8 牛肉(全般)4,0~4,6

9 卵黄 4,2

抜け毛の進行を防ぎ、育毛に取り組んでいくなら、亜鉛は多めに摂取しておきたいところです。上記の食品を参考にして、積極的に摂るようにしてください。

亜鉛の効果的な摂取法

亜鉛は一緒に摂る食べ物によって、吸収率が違ってきます。食べ方によっては亜鉛の吸収率を上げたり逆に下げてしまったりすることもありますので、以下を参考にしてください。

亜鉛の吸収率を高める食品

ビタミンCを多く含む食べ物:トマト、レモン、キーウィ、みかん、ほうれん草、ブロッコリー、じゃがいも、いちご、パセリ

クエン酸を多く含む食べ物:柑橘系果物、梅干し、いちご、キーウィ、パイナップル、桃、メロン

亜鉛の吸収率を下げる食品

インスタント食品:フィチン酸やポリリン酸といった成分が亜鉛を排出する

コーヒー、紅茶:タンニンやシュウ酸といった成分が亜鉛を排出する

食物繊維:繊維が亜鉛を排出する

インスタント食品、コンビニ食、ファーストフードなどの食生活では、気づかないうちに亜鉛不足に陥っている場合が多いので注意が必要です。またコーヒー、紅茶は亜鉛を排出したり胃を荒したりしますので、髪の毛の生育のためには飲みすぎはいけません。

食物繊維が、亜鉛を排出する働きがあることは事実です。しかしバランスのよい食事が摂れていれば、さほど気にする必要はありません。

亜鉛の育毛効果を高めるノコギリヤシ

また、ノコギリヤシの効能が亜鉛の効能と似ていることから、2つの成分を同時に摂取することで育毛効果を高めることがわかってきました。亜鉛とノコギリヤシの成分を同時に摂れるサプリメントを活用する人が増えています。

亜鉛のサプリメントを活用するときの注意点

ただ、食事だけでは亜鉛を補いきれない場合があります。そうしたとき、サプリメントに頼る人は多いです。しかしながら、育毛や健康維持には欠かせない栄養素の亜鉛ですが、過剰摂取は健康に影響がでますので十分な注意が必要です。

厚生労働省が発表した1日の安全摂取量は、男性は40~45mg、女性は35mgであるとされています。亜鉛の体内への吸収率は30%程度とされていて、厚生労働省はそれも踏まえた上で摂取基準を算定しています。

毎日の食事だけで10mg程度摂取できていることを考えると、サプリメントを1日30mg以上は摂取しない方がいいでしょう。さらに、亜鉛のサプリメントにセレンやクロムが含まれている場合は特に注意が必要です。

2008年にアメリカの政府機関が、ある亜鉛のサプリメントにセレンやクロムが高濃度に含まれていて、健康被害が報告されていると注意喚起しました。この製品の利用者には、脱毛、下痢、筋肉のけいれん、関節痛などの症状が出たのです。

亜鉛は健康維持や育毛に大切な栄養素であり、毎日の食事の中で十分に摂取することが可能です。ただ、同時に摂取の仕方にも注意が必要な栄養素であることもお分かり頂けたかと思います。

亜鉛を適量に摂取するため、サプリメントを有効に活用することは一つの方法です。しかし、過剰摂取によって健康被害がおきないように、基本は日頃のバランスがとれた食事から十分に摂取することに努めていきましょう。特に亜鉛の吸収率を高めてくれる食品と一緒に摂れば、効果的に亜鉛を補うことによって薄毛対策になります。