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年齢が若いにも関わらず、抜け毛の本数が増えて髪の毛が薄くなってきているようでしたら早めの対策が必要です。特に急激な大量の抜け毛は健康を損ねる前の兆候かもしれません。こうしたとき、食生活を含めた生活習慣や毎日の頭皮ケアの見直しが必要です。

人間の体内には、薄毛対策に欠かかすことのできない重要な物質があります。私たちの体内には身体の細胞の成長や修復に関わっているさまざまな成長因子というものがありますが、その中にIGF-1(インスリン様成長因子)というものがあります。この「IGF-1」は髪の毛の成長にとって大切な成長因子です。

IGF-1は血糖値を下げるインスリンと構造が似ているため、「インスリン様成長因子」と呼ばれています。インスリンは血糖値を下げる働きが知られていますが、同時に細胞を大きくする働きもあります。このIGF-1にも細胞を大きくする働きがあり、髪の毛を作る毛母細胞の成長に関わっています。

ここでは、IGF-1が髪の毛の成長にどのように働くのか、そしてどのようなな生活習慣をすればIGF-1の働きを高めることができるのかを説明します。

IGF-1のさまざまな働きとは

私たちの身体には専門用語で、「成長ホルモン」と呼ばれる身体を作る上で大変重要な働きをする物質があります。この成長ホルモンは、私たちが寝ているあいだに分泌されます。成長ホルモンが睡眠中に毛根に作用することで、発毛に関わっている毛乳頭細胞でIGF-1が作られます。すると、毛母細胞の細胞分裂が活発になり髪の毛の成長が進むのです。

このように、私たちの睡眠中に成長ホルモンが分泌されることでIGF-1が生成され、その結果として髪の毛が作られます。

こうした事実から、質の高い睡眠を得ることが大切です。髪の毛が最も成長する時間は夜の22:00から26:00です。この時間までには頭皮ケアを済ませ睡眠していることが、毛母細胞の細胞分裂の活発化に不可欠です。

毛乳頭細胞でIGF-1が生産されると髪の毛の成長が力強くなり、ヘアサイクルの成長期が伸びていきます。そして、毛根から太くしっかりとした髪の毛が約2~6年生え続けるのです。

IGF-1のその他の働き

実は、IGF-1の働きは髪の育成だけではありません。肌にとって大切なコラーゲンの量を増やす効果により、肌の老化を抑える働きもあります。また、血管拡張作用により血液の流れがよくなることで、高血圧や動脈硬化の予防にも役立ちます。さらに、IGF-1は「インスリン様成長因子」というその名の通り、インスリンと同じく血糖値を下げる効果も望めます。

このように、IGF-1は髪の毛の成長だけでなく、さまざまな健康効果をもたらしてくれる物質なのです。

IGF-1を減らす要因

しかし残念なことに、私たちの身体にさまざまな重要な健康効果をもたらすがあるIGF-1は、一説には20歳頃を境に減少しはじめるといわれています。

しかし、実際には若くして薄毛になる人もあれば、ある程度の年齢になっても髪の毛が豊富な人はたくさんいると同じように、必ずしも加齢によってIGF-1が減少するとは限りません。IGF-1が減少してしまう原因は加齢だけではないのです。

加齢のほかにも、IGF-1を減らしてしまう生活習慣があります。私たちは知らないうちに、IGF-1が減ってしまう生活習慣を送ってしまっている可能性がありますので、IGF-1を減らす生活習慣がどのようなものかを知っておくことは大切です。日頃の生活の中でIGF-1が減りにくい工夫をしていきましょう。

IGF-1を減らす生活習慣

私たちの身体には、痛みや熱さといった刺激を脳に伝えるための神経が存在します。これを、専門用語で「知覚神経」といいます。IGF-1は知覚神経から放出されますので、知覚神経に刺激を与えないとIGF-1は減ってしまう特性があることを覚えておいてください。

以下に、IGF-1が減りやすい生活習慣を記します。

1 塩分・糖分の摂りすぎ:塩分と糖分はどちらとも知覚神経を刺激するには必要ですが、摂りすぎは知覚神経を鈍らせてしまうのでよくない

2 身体を冷やす:身体が冷えると、知覚神経の反応が鈍る

3 運動を全くしない:運動をしないと、知覚神経が刺激されない

4 あまり噛まずに食事する:唾液の分泌量が減り、知覚神経が刺激されない

5 紫外線を避けすぎる:適度な紫外線は知覚神経を刺激させる

6 過度の飲酒・喫煙・夜更かし:知覚神経の働きを抑えてしまい、IGF-1が減少する

7 過食による脂肪細胞の増加:脂肪細胞が増えるとIGF-1を減らす物質が放出される マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」もIGF-1を減らす

IGF-1が減りやすい生活習慣とは、知覚神経が刺激されない生活習慣のことを意味します。薄毛を防止するためにも、以上7点を避けるようにしましょう。

IGF-1を増やす方法

前述の通り、IGF-1は知覚神経が刺激されることによって増えますので、日頃から知覚神経に刺激を与える生活を心がけることが大切です。

以下に、IGF-1が増える生活習慣を記します。

1 適度な運動

運動することにより、知覚神経が刺激されます。また、ウォーキングなどの適度な運動は脂肪細胞を減らすことにもつながり、同時に体温も上昇させます。これは、知覚神経刺激にとって効果があります。

2 IGF-1を増やす食品を積極的にとる

IGF-1を増やす食品としては、黒豆、カプサイシン、魚介類、カカオ、レーズン、ヨーグルトなどがあります。

特に、大豆イソフラボンが含まれるは黒豆がより効果的です。漢方にとって、髪の毛にとって大切な臓器は腎臓です。そして、黒豆は腎臓を強化する食べ物といわれています。

3 適度なストレス

意外に思われるかもしれませんが、適度なストレスはIGF-1の増加につながります。そのため、ストレスがまったくないより多少はあったほうが薄毛には適切です。

当然ながら強すぎる精神的ストレスは血行を悪くし、抜け毛になりやすくなりますのでよくありません。しかし、ほどよいストレスが与えられると、それを克服するために治癒力や免疫力が向上することは知られています。ストレスがまったくないというのも、実はハゲに対してあまりよくありません。

以上のように、育毛にとっては髪の毛の生育に大切な成長因子であるIGF-1を増やす生活習慣が存在します。IGF-1を減らす生活習慣を避けるだけでなく、同時にIGF-1を増やす生活を意識的に実践することで、さらに育毛効果を得やすくなります。

さらに栄養のバランスが取れた食事を基本にして、IGF-1を増やす食品を積極的にとるようにしていきましょう。過度の飲酒・喫煙・夜更かしを慎み、適度な運動や良質の睡眠によって髪の毛の成長に望ましい生活を送るようにしてください。