「ハゲの原因はストレスである」ということがよく言われています。現代社会はストレス社会とも言われていることから、強いストレスを感じながら日常生活を送っている人は多くいます。ハゲの原因がストレスであるとすれば、近年日本において成人男性のハゲ率が高まってきていることも頷けます。

しかし、一方でハゲの原因はストレスとはいえない事実も確認できます。例えば、強いストレスが付きものである職業に携わっている人にハゲが多いかといえば、必ずしもそうではありません。

実際に、かなりのストレスがあることが容易に想像できる政治家や大企業の経営者、プロスポーツの監督などは毎日強いストレスを感じ神経をすり減らしながら生活していますが、思いのほかハゲが少ないといえます。それとは反対に、あまりストレスがなさそうな職業についている人でもハゲはたくさんいます。

このような事実を見ると、世間一般では常識になっているともいえる「ハゲの原因はストレス」ということが事実であるとは必ずしもいえません。ストレスとハゲの関係を正確にいえば、「ハゲの原因の1つにストレスがある」というのが正しいといえます

実際に、ストレスによって血行が悪くなることは医学的にも認められており、血行が悪くなると頭皮の血行も悪くなるので、髪の毛の成長にはマイナスであることは事実です。

ここでは、ストレスとハゲの関係について再度詳しく検証していきたいと思います。

ストレスがハゲを招くといわれている理由

ストレスがハゲを招く理由といわれていますが、そもそもストレスとはどのようなもので、またストレスにはどのような種類があるのでしょうか。

ストレスは厳密にいうと、ストレスの原因となる「ストレッサー」と、そのストレッサーによって引き起こされ心身的な不調となる「ストレス」の2つに分けられます。つまり、原因がストレッサーで結果がストレスということになります。

例えば会社内では、「上司の存在や性格」がストレッサーで「恐怖や胃痛」がストレスとなります。または、「外回り営業」がストレッサーで「食欲不振や睡眠障害」がストレスとなることもあります。このように、私たちが日常「ストレス」といっていることは、実際には「ストレッサー」である場合が多いのです。

ストレッサーとストレスの違いを理解する

心身的な歪みの原因となるストレッサーは、5つあります。それらは、以下の通りです。

1. 社会的ストレッサー:生活環境や家庭環境、職場環境、社会的責任など

2. 精神的ストレッサー:緊張や悲しみ、不安、悩みなど

3. 身体的ストレッサー:怪我や病気、体調など

4. 物理的ストレッサー:気候や気温など

5. 環境的ストレッサー:空気や騒音、異臭など

そして、これらのストレッサーが原因となって、心身共にに不調となって表れるのがストレスです。ストレスは、「身体」「気持ち」「行動」「考え方」に表れるようになります

それぞれのストレスの反応は、次の通りです。

1. 身体

・寝付けない

・夜中に目が覚める

・頭痛・胃痛

・食欲減退

・身体のだるさ

2. 気持ち

・不安・恐怖

・イライラ

・やる気が出ない

・落ち込む

・何も感じなくなる

・孤独感

3. 行動

・怒りっぽくなる

・落ち着きがない

・引きこもる

・ハイテンションになる

・子供のような行動

4. 考え方

・集中できない

・自分を責める

・記憶力低下

・考えがまとまらない

以上のような状況が続くことで、自律神経が乱れると体内機能の不調を招いてしまいます。

自律神経には、「交感神経」と「副交感神経」があります。交感神経は人が活動している時に働き、副交感神経は活動していない時に働きます。この2つをバランスよく繰り返して、人は正常な状態を維持できるのです。

しかし、人がストレスを抱えるとこのバランスが崩れてしまい、交感神経ばかりが働くようになります。交感神経には血圧を上昇させる働きがあるので、血管が収縮して血行が悪くなります。

また、交感神経の働きがが常に優勢になると、他にも睡眠障害や内臓機能の低下をも招いてしまいます。このように、ストレスによる自律神経の乱れは、健康にも髪の毛にも悪い影響を与えてしまうのです

それぞれのストレスが招く結果が、以下の通りです。

1. 血行不良

ストレスが抜け毛を招く一番の理由が、血行不良です。全身の血行が悪くなると、身体の末端にある頭皮には血液が届きにくくなります。血液には髪の成長にも必要な栄養が含まれますが、血行不良によって頭皮の毛根に存在する毛母細胞にも栄養が届くにくくなってしまいます。その結果、抜け毛が増えてしまうのです。

2. 睡眠障害

ストレスの大きな弊害に睡眠障害があります。不安や恐怖、イライラなどが強くなると副交感神経の働きが弱まり、夜ぐっすり眠ることが難しくなります。特に髪の成長は、22:00から26:00までの間が一番活発になるので、この時間に良質の睡眠をとることは髪の成長にとって大切なのです。

3. 内臓機能の低下

内臓機能の低下は、タンパク質の吸収を妨げます。髪の主成分はタンパク質の一種であるケラチンですので、タンパク質の吸収が悪くなることは髪の成長に悪影響を及ぼします。

4. 頭皮環境の悪化

自律神経の乱れは、アドレナリンの過剰分泌を招きます。その結果、体内の活性酸素が増加して皮脂腺が活性化することで、皮脂も過剰に分泌されます。特に頭皮の皮脂の過剰分泌は、炎症の原因となるマセラチア菌の異常繁殖につながり抜け毛を引き起こしやすくします。

このような一連の流れが、ストレスがハゲの原因といわれる理由です。

ストレスはハゲの一つの要因に過ぎない

ストレスがハゲを招く理由は理解できました。しかし、本当にストレスだけがハゲを招く原因なのでしょうか。答えはNOです。もし、本当に強いストレスによって人間の髪の毛が抜け落ちてしまうのであれば、男性のみならずもっと多くの女性もハゲになっているはずです。

また先述の通り、常に強いストレスを感じることが避けられない職業についている人のハゲ率はもっと高くなるはずです。また逆に、強いストレスと無縁とも思える職業や社会的立場にいる人にも、ハゲが多く見られるという現象には矛盾が生じます。

また、本来髪の毛には頭を衝撃から守る役割があるといわれていますが、人類の歴史上ストレスは常に付きもので、さらにいえば生活環境や病気などの恐怖や不安からすれば、昔の人の方がストレスは現代人よりも強かったとも考えられます。

そのような環境で生き延びてきた人類が、ストレスだけで頭部を保護する役割のある髪の毛を簡単に失ってしまうとは考えられません。

ストレスがなさすぎる生活も人間にとってはよくない

ストレスは、髪や健康にとってよくないとされていますが、実は必ずしもそうではありません。人間の身体にはストレスが全くないという状態は返って髪にも健康にもよくありません。

人間の体内には、身体の細胞の成長や修復に関わっているさまざまな成長因子というものがあります。その中に、「IGF-1(インスリン様成長因子)」というものがあります。この「IGF-1」は髪の毛の成長にとって大切な成長因子といわれています。

残念なことに、IGF-1は20歳頃を境に減少しはじめるといわれています。しかし、加齢だけによって必ずしもIGF-1が減少するとも限りません。IGF-1が減少してしまう原因は加齢だけではなく、むしろ生活習慣が影響します。

IGF-1は知覚神経が刺激されることによって増加しますので、生活環境の中では全くストレスがない生活よりも適度なストレスがある生活のほうがIGF-1は増加するのです

このことは、ある程度理解できます。毎日、ストレスや苦痛が全くない生活を送っていると、免疫力や抵抗力が低下しますが、適度なストレスや緊張感は免疫力や抵抗力の向上につなりますので、実際は生命力も高まることになります。

このように、確かに人間が生きていくためには過度のストレスが長く続くといった状況はよくありませんが、逆に適度なストレスは髪の毛や健康維持にとっては必要だったのです。

このような事実を見ていくと、「ハゲの原因はストレスではなく、ストレスがハゲの要因にもなることがある」と考えたほうが自然であると思えます。

ハゲの原因はストレスだけではない

それでは、「ハゲの原因はストレスではなく、ストレスがハゲの要因にもなることがある」というのであれば、主なハゲの原因は何であるのかという疑問が湧いてきます。

その答えは、「間違った食事や生活習慣、頭皮ケア」です。特に、その中でも食事内容が一番大切です。ハゲを改善するには、まず食生活を正していき同時に規則正しい生活習慣に戻し、そして正しい頭皮ケアを行うことが正しい方法なのです。

最近では、AGA治療法も効果が認められていますが、副作用が確認されているプロペシアやミノキシジルを使用しなくても、間違った食事や生活習慣、頭皮ケアを毎日実践することで、ハゲの約80%は改善させることは可能です。実際に、この方法でハゲを治した人は私自身のように日本には沢山いるのです。

もし、あなたが自分で「オレがハゲたのはストレスが原因だ」と思っているならば、今までの食生活や生活習慣を思い出してみて下さい。

・毎日バランスのとれた食生活を送っていましたか?

・お菓子や清涼飲料水、インスタント食品、ファーストフード、コンビニ弁当を毎日食べていませんか?

・頑固な便秘に悩んでいませんか?

・毎日規則正しい生活を送っていましたか?

・夜更かししていませんか?

・毎日ぐっすり眠れていますか?

・毎日1箱以上もタバコを吸っていませんか?

・毎日肌に優しいシャンプーを使って洗髪していますか?

これらの項目をチェックしたときに、「自分は全く当てはまってはいない」というのであれば、あなたのハゲの原因はもしかしたら遺伝かもしれません。しかし、身内にハゲがいなくても自分が最近ハゲて来たなと感じるのであれば、あなたは上記の生活を送っている可能性が高いと思われます。

毎日の食事や生活習慣、頭皮ケアが間違っていたから、免疫力や抵抗力が低下して、その結果ストレスがキッカケになって髪の毛が抜けやすくなったということなのです

毎日の食事や生活習慣、頭皮ケアが正しければ、多少のストレスでハゲることはない

今までの説明をまとめると、次のようになります。

1. 強すぎるストレスが長く続くと血行が悪くなることから、髪の毛や健康にはよくない

2. しかし、適度なストレスによっては免疫力や抵抗力は高まり、また髪の毛の成長にとって大切な成長因子である「IGF-1(インスリン様成長因子)」も増加する

3. ハゲの原因の80%は「間違った食事や生活習慣、頭皮ケア」なので、それらの改善に努めることが大切である

4. 正しい食事や生活習慣、頭皮ケアを毎日実践していれば、ストレスによって抜け毛が多少増えたとしてもハゲることはない

以上のように、ストレスは必ずしも健康にとって害になるばかりでなく、逆に適度なストレスは健康維持や髪の毛の成長にとっては必要だったのです。ただし、長期間に渡る過剰なストレスは、身体や精神を蝕んでしまいますので、そうならないような日頃の心がけは大切です。

私たちが生きていく上である程度のストレスは避けることができません。しかし、ストレスを過度に怖がらずに、むしろ適度なストレスは自分にとって必要であると認めてしまうことが上手にストレスとつき合っていく方法なのかもしれません。

そう思うことで、多少ストレスがあっても「ハゲになるのではないか」という不安がなくなり、そして髪の成長にとっても良い結果が期待できるようになるのです。